太田先生 最終講義

今年度で退官される太田隆夫教授の最終講義が先週行われました。最初20分くらい遅れてしまったけれども、OJKのレベルセットのアイディアのところから聞く事ができ、80年代とか90年代の非線形・非平衡の分野がどんな問題を抱え、アプローチしていったのかを聞く事ができました。でもそこから00年代へのつながりが僕には興味深いものでした。

変形する粒子、self-deformable particleの運動や集団運動を太田研でやっているというのは、僕がアメリカに行った後に知りました。細胞性粘菌の論文を出した後、何か知らんけど太田研でそういうのをやっている人がいるらしい、というのを松尾さんや佐野先生から伝え聞き、しかも東京-京都で協力体制?が出来つつあるらしい(その産物が Hiraiwa et al. Euro Phys Lett 91, 20001 (2010))、というのを噂でちらほら聞いていました。何でそういう研究を?と、ずーっと不思議だったのですが、元々の研究の動機は反応拡散系でドメインが動くとき、変形が起こる、というのは知っていたけどそれを考えると言って数年ほったらかしていたのを真面目にやって、Ohta-Ohkuma model(Phys Rev Lett 102, 154101 (2009))になった、ということなのだそうです。

最近、アクティブマターが盛んに研究されているため、その流れに近い所から来たのかと思っていたのですが、ドメインが動いて、変形した時どんなダイナミクスが生まれるかを真面目にやろうと思ったのがきっかけだそうで。さらに、Ohta-Ohkuma modelは変形して動く現象に対して適用が試みられているようです。太田先生が講演されるときには佐野研の研究にも言及して下さるようで。 で、さらに最近は分子実態のところのからみを考える上で興味深いという事で、ハイデルベルグ大学の田中先生が関心を寄せて下さっています。 太田先生の関心に沿う話での貢献は100%猪瀬くんと松尾さん、田中先生の方では僕の方なのかもしれません。その研究をやっていたときは、予想もしていなかったところから関心を寄せてもらい、しかもそれは日本の非平衡の分野のネットワークのようで・・・懇親会の最後に、太田先生にこうした注目を寄せて下さったことに簡単にお礼を言いました。

 あとは最終講義の最後に3つ提示されたOpen questions。そのうち2つめのものについては、挑戦的だけれども、そこに向かって研究を進めていかないとなと認識を新たにしました。でも、うーん、どうしたらいいのだ・・・。

更新日:2013年3月21日