ELSIシンポジウム

WPIプログラムの新しい拠点として東工大に地球生命研究所(ELSI)ができ、そこのPIの方にお誘い頂き第一回シンポジウムに参加してきました。まだ建物はこれから作るそうですが、京都大学のiCeMSのように外国人研究者の割合が40%とか、研究者の交流も盛んで国際的に開かれた拠点を目指すそうです。僕は物理系の話と生物系の話を両方しようかと思いましたが、英語力ががっくりと落ちていて時間内に収まりそうになかったので、物理系だけ。

ELSIは惑星形成や生命の起源を対象にした拠点だそうで、シンポジウムの話もかなり幅広い。惑星形成の話や地球物理の話は僕も興味があるので、収穫もありました。微小系ではないところだけど、うーん、実験してみたいかも。たとえば、hydrothermal ventのまわりでのcirculationや地形とニッチとの関係に注目しておられる方もいるようなのですが、そういうのは僕のような分野が得意あるいは知見が蓄積している。触発されて、新しい実験のアイディアも得たような気がします。地球物理の研究者がやっていることと、僕らがやっていることはかなり近いのだけど、どうしたらいいのか?と帰りの新幹線で考えていたときに、おぉーもしあれをラボに導入したらいけるんじゃないか?と。僕も(新しい技術を導入して物理をやることに)興味あるし、もしそれが出来たらもっとすり寄った議論が出来るのではないかと。来年度、好きにして良いという予算があるので買っちゃおうかなぁ・・・などと想像するのは楽しいものです。

生命の起源とか合成生物学はよくわからん、、、個別的には何をやるのか問題設定はあるけど全体として何を目指しているのだろう、、、まぁそれはその分野全体が抱え込んでいるものかもしれません。見てたら楽しい、出来たらおもろい、というだけじゃなくて(地球物理の人たちが納得するようなレベルで)何か出せっていわれて、うーんどうなんでしょ。ディスカッションのときにもしきりに言われていたのですが、「What is right question?」がなんなのだろう。できそうなことをひとまずやっている、という印象はいなめない。僕はそれを強く否定する気はない(研究をやっていると一部分だけを取り出してみると、そう見えるときもある)けど、大規模な予算がつくとそうもいかないのかもしれません。

 最後にとても刺激的な会議に参加できて楽しかった、ということで今年度の出張はこれでおしまい。数えてみたら内輪のも合わせると15回講演をしていました。来年度は多分その半分以下になるはず。もともと学会はあまりいかない方ですし、1つは論文を出せそうなので、そちらの方に力を注ぎたい。学生と一緒にやっているMicrofluidicsも1つ壁を乗り越えれば論文が見えてくる、はず。7月の招待講演でお披露目できるか?生物系の共同研究はまだまだですが、来年度は培養室をつくって、より効率よく研究が進むようにしないといけない。まだまだ順調とはいえないけれども、良い研究を世にだせるように頑張ります。

更新日:2013年3月29日